南の雄のとろとろクリーミー参鶏湯
ソウルに無数とある参鶏湯専門店の中で、最高峰とされているのが「土俗村(トソクチョン)」です。ソウルは、漢江を境に江北と江南に分かれており、土俗村が北の雄であれば、南の雄に真っ先に名が登るのが「元祖 ホスサムゲタン」です。ソウルで土俗村を含め様々な参鶏湯を食べてきましたが、個人的には元祖 ホスサムゲタンが一番。ネックになるのが、アクセスの不便さのみ。まず降りる機会がない、ソウル地下鉄7号線の新豊(シンプン)駅から徒歩約10分の所に位置。大きな建物の緑の看板が目印で、並びに分店もありますが「元祖店」がおすすめ。建物の脇道にある獅子の像が本館の入口です。広いオンドル形式の店内、メニューは「ホスサムゲタン」のみです。ホスサムゲタンの最大の特徴は、エゴマの実をたっぷりすりつぶしたクリーミータイプです。パンチャン(おかず)は、生の丸ごとキュウリ、青唐辛子、ニンニク、そしてカクテキでおかわり自由。この丸ごとキュウリもこちらの名物で、コチュジャンに付けて良し、キュウリ片手にサムゲタンを食べても良し。ブクブクと音を立てホスサムゲタンの登場です。まず、ボリュームが実に適量です。多くの専門店の参鶏湯は、量が多すぎて後半は飽きてしまいがち。鶏、もち米、スープまできれいに飲み干せるのもホスサムゲタンの魅力でしょう。トロトロとしたまるでクリームシチューのようなスープが主役。鶏のエキスが上品に染み渡り、濃厚ながらあっさりとした極上のクリーミーさです。そのままでも十分ですが、好みで塩を加えてください。グッと味が立ってきます。鶏一羽は、小振りながらギュッと旨味が詰まっている印象、瑞々しくそして柔らかく上質です。お腹には、もち米、高麗人参、ナツメ、栗と定番がしっかり詰まっています。個性、具材、調理、味、ボリューム、すべて揃ったまさに最高峰のサムゲタンと言えると思います。スープまで飲み干し、お腹も心も豊かです。